一風変わった「活劇風」戦国小説との出会い
久しぶりに戦国武将をテーマにした小説を手に取りました。今回読んだのは、大塚卓嗣・著の『天を裂く 水野勝成放浪記』(2013年作)です。
最初は山岡荘八先生のような重厚な歴史巨編を期待していたのですが、読み始めてみると、どうも様子が違います。導入部からどこか現代的な、いわゆる「活劇風」な描き方が目立ち、正直なところ最初は少し戸惑い、読み進めるのを躊躇してしまいました。
「うーん、期待とは違うかな……」と悩みましたが、せっかくの縁です。まずはこの武将がどんな人物なのかを知るために、3分の1ほど読んでみることにしました。そこから気になって、ネットで実在の水野勝成の生涯を調べてみたところ、これが実に面白いのです!
放浪の末に最終的に徳川幕府の大名となり、天寿を全うしたという史実を知り、「この破天荒な生涯を、作者はどうアレンジするのだろう?」と、がぜん興味が湧いてきました。
「漫画化」を予感させる現代的な筆致
結局、一気に最後まで読み終えましたが、平成から令和にかけての作品は、テレビ映りや漫画化を意識したような、テンポの速い作風が増えているのかもしれません。私にはその書風の違いを細かく論じる技量はありませんが、時代の変化を感じる読書体験となりました。
それでも、この本を読んで本当に良かったと思えるのは、水野勝成という魅力的な武将を深く知ることができた点です。振り返れば、かつて40代の頃に惚れ込んだ名将・立花宗茂を知ったのも、やはり小説がきっかけでした。今回出会った勝成についても、また別の作家が描く「水野勝成物」を読み比べてみたい、そんな新しい楽しみが見つかりました。
【深掘り】"戦国一の暴れん坊" 水野勝成の略歴
小説のモデルとなった水野勝成(みずの かつなり)は、まさに「事実は小説よりも奇なり」を地で行く武将です。簡単に彼の歩みをご紹介します。
- 父からの勘当と放浪: 家康の従兄弟という名門に生まれながら、あまりに血気盛んすぎて父の怒りを買い、20代で家を出て15年以上も諸国を放浪します。
- 最強のフリーランス武将: 豊臣秀吉、佐々成政、小西行長、黒田官兵衛など、名だたる大名のもとを渡り歩き、各地で凄まじい軍功を挙げました。
- 徳川への帰還と大名昇進: 紆余曲折を経て徳川軍に復帰。関ヶ原や大坂の陣で大活躍し、最終的には備後福山藩10万石の初代藩主となりました。
- 名君としての素顔: 戦場では猛将でしたが、領主としては上水道の整備や産業育成に尽力。領民に慕われ、88歳の天寿を全うしました。
「一国の大名が自ら一番槍を競う」ほどの猛者だった勝成。彼のような個性の強い武将を知ると、歴史のページがより鮮やかに見えてきますね。