虚数次元の覗き窓

円の方程式と聞いて、皆さんはどんな式を思い浮かべるでしょうか。
おそらく、中心座標と半径がひと目でわかる、この「標準形」の公式ではないかと思います。

円の標準式: (x - a)2 + (y - b)2 = r2

確かにこの式は、図形を描くための「道具」としては非常に便利です。しかし、教科書でおなじみのこの形からは決して見えない現象が、これを展開した「一般形」の式には隠されています。

一般式: x2 + y2 + lx + my + n = 0

この一般形の係数(l, m, n)を連続的に変化させると、方程式の背後にある「虚数次元」の気配を視覚的に捉えることができます。百聞は一見に如かず。まずは、下のグラフをしばらく眺めてみてください。

いかがでしょうか。
軌跡を描きながら飛び回る円が、ある瞬間に突然フッと消え、また何事もなかったかのように別の場所からフッと現れます。
まるで、粒子(量子)が異世界へ消え去り、また戻ってくるような錯覚を覚えないでしょうか。

この現象は、計算上「円の半径の2乗」がマイナスになってしまう瞬間に起きています。
私たちの目に見える実数平面からは消滅してしまいますが、数式の世界において、円は決して無くなったわけではありません。見えないだけで、「虚数の半径を持つ円」として、数式の奥底で地続きに存在し続けているのです。

ずっと眺めていると、円が消える瞬間は電子と陽電子が「対消滅」する姿に、そして再び現れる瞬間は真空からの「対生成」に見えてきて、ただの幾何学の式から宇宙の神秘へと空想が果てしなく膨らんでいきます。

ご自身の手で、虚数次元に触れてみませんか?

専用のシミュレータ画面では、標準形と一般形を切り替えながら、
スライダーを使ってご自身の手で自由に係数を操作できます。

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